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相続による不動産名義変更の流れ

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「不動産の名義変更はどうやって行うのですか?」

相続に関してお客様からよく聞かれる質問の一つです。不動産の名義変更だけでしたら必要な書類を揃えて法務局へ行き登記の申請をすればよいのですが、それが相続によるものでしたら名義変更までに幾つかの過程を経なければなりません。

①相続人、相続財産の確定

被相続人(亡くなられた方)の葬儀・法要を行い、故人を見送って死亡届を提出した後、相続財産を相続人(財産を受け継ぐ人達)に分配する事になります。まず始めに、相続人の数を確定させます。これは財産を相続する権利のある人を余すところなく見つけ出さなければなりません。一人でも欠けた遺産分割は一切無効となりますので、大変重要なセクションになります。相続人の数や居場所を把握している場合は良いのですが、不確定な場合は専門性が求められ、大きな労力が必要となるでしょう。そして相続財産の確定です。相続財産が確定していないと、遺産分割協議(残された財産をどう分配するか決める会議)も行えませんし、もちろん相続税の申告もできません。

②相続の承認・放棄

相続人の数と財産が確定しましたら、相続人は財産を受け取るか、放棄するかを決めることになります。「せっかく財産をもらえるのに、放棄する人っているの?」と思われた方もいるのではないでしょうか。実は財産を相続するというのは、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産(借金等)も引き継ぐのです。法律では相続人は、三つの選択肢を選べるようになっています。

単純承認

『被相続人の財産をプラス面マイナス面の全てを受け継ぐ』
明らかにプラスの財産が多い場合は、こちらを選ぶことが多くなるでしょう。現金の相続では比較的問題は起こりづらいのですが、不動産の場合、相続税などの資金に注意が必要です。

相続放棄

『相続財産の一切を受け継がず放棄』
明らかにマイナス財産が多い場合は、こちらを選ぶことが多くなるでしょう。
プラスの財産を含め一切合切の財産を放棄しますので注意が必要です。

限定承認

『相続財産(マイナス分も)を部分的に引き継ぐ』
限定承認はちょっとわかりづらいのですが、「1000万円の土地を相続しますが、もし債務(借金)が1000万円以上あっても1000万までしか引き受けませんよ」ということです。「それだとプラスマイナスゼロで、相続する意味が無いのでは?」と思われますが、もし後からプラスの財産以上のマイナスの財産が出できても背負う義務がありません。プラスの財産が出てきた時には、それを相続できる事もあります。この限定承認を選択する方は稀で、相続が専門の法律職の方もあまりお目に掛かる事が無いそうです。以上の三つの選択肢からどれを選ぶのか、自己に相続の権利があると知った時から三か月以内に決断しなくてはなりません。この期間内に限定承認または相続放棄しなかった場合、法律上単純承認したものとみなされるので注意が必要となります。また、知った時から三ヶ月なので、突然決断を迫られることはありません。もちろん突然借金を返せと言われて支払う必要もないのです。相続放棄の手続きをすれば、支払う義務はありません。被相続人の借金をしている業者などから連絡が来ても、相続放棄をした旨を伝えましょう。

③遺言の有無を確認

遺言書というのは、被相続人の最後の意思です。その意思を尊重する趣旨により、遺言書の内容を元に相続は行われます仮に遺産分割協議中に遺言書が発見された場合、遺産分割協議は無効になります。ですから、遺産分割に入る前に遺言書の有無を確認するのは非常に重要になるのです。ここで注意したいのが、遺言書が見つかっても、絶対に開けてはいけないということです。勝手に遺言書を開いた人は裁判所から五万円の過料を取られるか、最悪、相続欠格事由にあたり、相続人から外されてしまう事もあります。あってはならないことですが、遺言書を隠しても欠格事由になります。

遺言書を見つけたら、中身を開けずにそのまま家庭裁判所に提出しましょう。

④遺産分割協議

遺言書の有無を確認し、遺言書が存在しないとはっきりとした場合、遺産分割協議に入ります。分割方法には現物分割、換価分割、代償分割などの方法がありますが、相続人間で話がまとまれば、原則的にはどんな方法でも構いません。もし分割協議がまとまらない場合や協議を行えない場合は、家庭裁判所に分割の申し立ても請求できます。

⑤相続税の申告・納税

遺産分割協議が終了し、それぞれ相続人へ相続した財産に応じて相続税の申告をし、納税をします。相続した物によって懸かる税金の計算方法があるのですが、これが大変複雑なので、あなたの大切な時間や労力を多く使うことになるでしょう。ですから、税理士さんにお願いした方が確実ですし、あなたの心や体にも優しいと思います。

⑥名義変更手続き

最後に相続した財産をご自身の名義にする為に各種財産継承名義変更手続きを行います。不動産なら相続を原因とする所有権移転登記を行います。この移転登記に期限がある訳ではないのですが、その不動産が再び相続財産の対象になった場合、登記が済んでいないと権利関係が複雑になる事がありますので、なるべく早く移転登記は済ませておくことをおすすめします。預貯金に関しては申請に必要な書類の有効期限が切れていないかを注意しましょう。

相続業務に関わる士業

以上、相続の流れについて解説させて頂きました。中には専門性が高く、良く理解ができないこともあったのではないでしょうか。そこであなたの相続の悩みを解決できるのが、士業のわたしたちです。相続人・相続財産の調査、遺産分割協議では行政書士。登記関係では司法書士や土地家屋調査士。税務関係では税理士。年金関係では社会保険労務士。裁判関係では弁護士。これだけの士業が関わるのは相続業務以外ではあまり無いかと思われます。専門性の高い内容であることの裏付けと考えることもできるでしょう。

相続に関しまして詳しく知りたい方、また、疑問等がございましたら、相談を随時受け付けております。

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