遺言書を遺しておけば、私の死後に相続財産をめぐって相続人間の争いが避けられるのは確かだろう。しかし私の遺言書に込めた思いを理解してくれない相続人も出るかもしれない。私が憎まれるのは仕方ないが、相続人間でわだかまりが残るのは避けたい。
うまく遺言書に私の思いを込めることはできないだろうか・・・。
遺言書を作成する際には、誰しもこのような悩みをお持ちになることでしょう。今回の記事では、遺言書に思いを込める方法として「遺言書の付言事項」について分かりやすく解説します。
目次
遺言書に絶対必要な記載事項!
遺言書には民法で定められた記載事項があり、これらが欠けていると法律上の効力が認められません。その場合、せっかく作成した遺言書も、相続人間の争いを抑止することは期待できないでしょう。特に自筆証書遺言の作成を検討されている方は注意が必要です。
遺言書の絶対的記載事項は、以下のとおりです。
- 遺言書作成者の署名および捺印
- 遺言書を作成した日付の記載
自筆証書遺言の場合、遺言書本文を遺言者が自署し、上記2点が記載されていることが、遺言書に法律上の効力を持たせるための絶対条件となります。なお、相続財産目録(財産リスト)を作成する場合に限り、財産目録はパソコン等で作成することが可能です。その場合は、財産目録の各ページごとに自署で署名・捺印をする必要があります。
付言事項とは?
付言事項とは、遺言書に記載しても法律上の効力は持ちませんが、遺言者の思いを相続人に伝えることができる事項です。ご自身の死後、相続人間で争いが起こることが懸念される場合には、付言事項に思いを込めることが非常に重要となります。
以下に、私が作成した付言事項の例を三点掲載しますので、よろしければご参考ください。いずれも、特定の方に財産のすべてを相続(遺贈)させるケースを想定した文章です。
付言事項の記載例
相続人が配偶者と子ども2人のケースで、財産をすべて配偶者に相続させる場合
君たちのお母さんは、私と共働きで君たち二人を育て上げてくれました。そして年を重ねた今、私が旅立った後は、わずかな年金で暮らしていくことになります。そう遠くない将来、施設を利用することになるでしょう。二人とも子どもが成長し、大学の費用などを賄うために、私の財産を相続できれば大きな助けになるはずです。私も援助できるものなら、そうしたいと強く思っています。
しかし、お母さんが余生を穏やかに過ごすためには、それなりの蓄えが必要なのです。私の財産を、どうかお母さんにすべて相続させてください。君たち二人と、それぞれの家族に素晴らしい未来が訪れることを願っています。
相続人が子ども2人(兄A・弟B)のケースで、兄Aに財産をすべて相続させる場合
仕事上の事故で満足に体を動かせなくなった私のために、Aは安定した公務員という職を辞し、私の介護をしてくれる決断をしてくれました。Aが今も独身でいるのは、以前より収入が低くなったことに加え、私の介護に時間を割いてくれたためかもしれません。Aの献身に報いるため、せめて私の財産をすべてAに相続させます。
しかしB、君のことを軽く見ているわけではありません。結婚して家庭を持ち、子どもを三人も育てている君を、私は心から誇りに思っています。これからも兄弟二人が変わらず仲良く過ごしていくと、強く信じています。
相続人が子ども2人のケースで、相続人以外の第三者(Cさん)に財産を※遺贈する場合
私の財産を、君たちから見れば全くの赤の他人であるCさんに遺贈することを、快く思わないかもしれません。しかし、Cさんの助けなくして、今の私は存在しないと言っても過言ではありません。Cさんと出会うことがなければ、お母さんと結婚し、君たち二人が誕生することも叶わなかったでしょう。Cさんへの返しきれない恩に報いるため、私の財産をCさんに遺贈するという、私のわがままをどうか許してください。
※相続人以外の方に財産を譲りたい場合は、遺言書には「相続させる」ではなく「遺贈する」と記載してください。
まとめ
今回の記事では、遺言書の付言事項について解説しました。
「思いを込めた付言事項にしたいが、うまく文章が作成できない……」
そのようにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
当事務所では、遺言書作成サポートを業務として取り扱っております。お一人で悩まず、どうかお気軽にご相談ください。
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