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遺産分割協議書の作成ガイド

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遺産を相続する際には、親族との協議で分配を決定しましたが、不動産や銀行の手続きには「遺産分割協議書」という必要な書類が必要となると知りました。しかし、具体的にどのように作成すればよいのでしょうか?

この記事では、相続手続きに不可欠な遺産分割協議書の作り方について解説します。

遺産分割協議書とは何でしょうか?

遺産分割協議書とは、被相続人(故人)の遺産がどのように分けられるかについて、相続人間での協議結果を記した文書のことを指します。この文書は必ず全ての相続人が参加して作成しなければなりません。

「相続人Aとはあまり関わりたくないので、彼を除外して話し合いましょう。」
「相続人Bは認知症で会話ができない状態だから、私たちだけで決めてしまいましょう。」
しかし、いかなる事情があろうとも、一部の相続人のみで遺産分割を協議することは無効となります。

また、少ないケースではありますが、被相続人が生前に隠していた子供がいることを知らずに、その子供を除外して遺産分割協議を行った場合も無効となります。

ただし、遺言により認知された子供(相続が発生した後に認知された)が存在する場合、遺産分割協議は有効であり、その子供には相続分に相当する金額を相続させることで問題を解決することとなるでしょう。

遺産分割協議書の作成例

遺産分割協議書の作成方法については法律で具体的に決まっていませんが、以下の情報を含めるべきです。

  1. 被相続人(故人)が何年何月何日に亡くなり、相続が発生したこと。
  2. 相続人全員で協議を行った結果。
  3. 例えば、「相続人Aが不動産を、相続人Bが預貯金の3分の1を、相続人Cが3分の2を、株式は…」といったように、被相続人の財産がどのように分けられるのかの記載。
  4. 遺産分割協議書作成日の日付、相続人全員の署名(サイン)と捺印(できれば実印)。

以下に遺産分割協議書の作成例を示します。

                  遺産分割協議書

令和5年1月10日山田太郎の死亡によって相続が開始した。
本籍地 神奈川県相模原市中央区○○123番地
相続人全員の協議の結果、相続財産は次のとおり分割することが決定した。
一.次の不動産は相続人 山田花子が取得する。
 不動産の表示
 所  在  相模原市中央区○○一丁目
 地  番  123番45
 地  目  宅地
 地  積  98.00平方メートル
 所  在  相模原市中央区○○一丁目 1234番地
 家屋番号  4567番89
 種  類  居宅 
 構  造  木造スレート葺2階建
 床 面 積  1階 71.00平方メートル 
       2階 65.00平方メートル
一.次の被相続人の預貯金は相続人 山田花子が2分の1、山田一郎が2分の1取得する。
○○銀行 普通預金 口座番号 1234567
○○銀行 定期預金 口座番号 8901234
上記預貯金に端数が発生した場合は山田花子が取得する。
一.上記相続財産の他に被相続人の財産が発見された場合、その財産は山田花子が取得する。
上記の協議及び事項を証するため、この遺産分割協議書を作成し署名押印の上保存する。 

令和5年5月20日

相続人
    住所 神奈川県相模原市中央区○○1-2-3
    氏名 山田 花子 印
住所 神奈川県相模原市緑区○○2-3-4
    氏名 山田 一郎 印
    住所 東京都町田市○○5-6-7
    氏名 山田 次郎 印

以下に注記しておきます。

  • 被相続人の氏名、住所、本籍地の記載も推奨されます。
  • 不動産の詳細情報については、法務局から被相続人の不動産の登記簿謄本を取得し、それをもとに記載するべきです。
  • 預貯金については、銀行名、預金種目、口座番号を明記することが望ましいです。
  • また、全ての相続人が協議に参加したことを証明するためには、たとえ山田次郎が相続財産を取得していない場合でも、彼の署名と捺印が必要になります。

遺産分割協議証明書でも問題ありません!

これまでに、3人の相続人がいるケースでの遺産分割協議書の作成例をご紹介しました。相続人が少なく、相続人同士の住所が近い場合は、遺産分割協議書の作成もスムーズに進むでしょう。

しかし、相続人同士の住所が遠く離れていたり(一人は神奈川県、一人は北海道など)、相続人の数が多い場合など、一枚の遺産分割協議書を各相続人に順次送るのは効率的ではありません。さらに、それらを郵送している間に遺産分割協議書が紛失するリスクも存在します。

そのような場合は、「遺産分割協議証明書」を利用することも一つの解決策です。遺産分割協議証明書は、遺産分割協議書を個々の相続人用に分割したような文書で、協議の内容をそのまま記載し、各相続人が個別に署名と捺印を行う方法です。

例えば、相続人が3人いるケースでは、三通の遺産分割協議証明書を作成し、それぞれの相続人宛に郵送します。協議の内容に同意したら署名・捺印をしてもらい、相続手続きを行う相続人宛に返信してもらいます。

この方法なら、相続人が遠方に住んでいたり、相続人の数が多くても、遺産分割協議書よりも迅速に手続きを進めることが可能です。

次に、既に作成した遺産分割協議書を、山田花子が署名・捺印した遺産分割協議証明書の作成例に改めて示します。

                  遺産分割協議書
令和5年1月10日山田太郎の死亡によって相続が開始した。
本籍地 神奈川県相模原市中央区○○123番地
相続人全員の協議の結果、相続財産は次のとおり分割することが決定した。
一.次の不動産は相続人 山田花子が取得する。
不動産の表示  
 所  在  相模原市中央区○○一丁目
 地  番  123番45
 地  目  宅地
 地  積  98.00平方メートル 
 所  在  相模原市中央区○○一丁目 1234番地
 家屋番号  4567番89
 種  類  居宅 
 構  造  木造スレート葺2階建
 床 面 積  1階 71.00平方メートル 
       2階 65.00平方メートル
一.次の被相続人の預貯金は相続人 山田花子が2分の1、山田一郎が2分の1取得する。
○○銀行 普通預金 口座番号 1234567
○○銀行 定期預金 口座番号 8901234
上記預貯金に端数が発生した場合は山田花子が取得する。
一.上記相続財産の他に被相続人の財産が発生した場合、その財産は山田花子が取得する。
令和5年5月20日

相続人
    住所 神奈川県相模原市中央区○○1-2-3
    氏名 山田 花子 印

これで以上です。

タイトルを遺産分割協議証明書に変更し、署名・捺印を行ったのが山田花子だけとなりましたが、それ以外の部分は先ほどの遺産分割協議書と全く変わりません。同じ書類をコピーして、山田一郎と山田次郎にも署名・捺印してもらい、相続人全員分の遺産分割協議証明書が揃ったら、相続手続きを進めることができます。

遺産分割協議証明書を使用すれば、遠方の相続人や多数の相続人がいる場合でもスムーズに手続きが進められます。遺産分割協議書の作成についてのご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。

遺産分割協議の見直しについて

これまで遺産分割協議について詳しく説明してきましたが、合意した後で分割方法に納得できなくなり、遺産分割協議をやり直したいと感じる相続人もいるかもしれません。

ただし、一度合意に至った遺産分割協議は原則的に取り消すことができません。例えば、年老いた親の世話を引き受ける代わりに長男に遺産の大部分を割り当てると合意したにもかかわらず、長男が約束を破り親を放って遊び回っていたとしても、遺産分割協議を取り消すことはできません。

ただし、全ての相続人が合意すれば、遺産分割協議を解除して再度話し合いをすることが可能です(上記の例では、長男の同意を得るのは難しそうですが…)。

今回説明したように、一度合意した遺産分割協議は原則として取り消せません。ですから、相続人全員でじっくりと話し合いを行い、遺産分割についてよく考えてから協議に進むことが大切です。

まとめ

本記事で、遺産分割協議書の作成について詳しく解説しました。遺産分割協議書は、手書きでもパソコンで作成でも問題ありません。しかし、相続の問題は大きな悲しみやストレスを伴い、書類を作成する余裕がない方もいるかもしれません。

私たちの事務所では、遺産分割協議書の作成サービスを提供しています。あなたの悩みを解決するお手伝いをさせていただきます!

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