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それは事業系一般廃棄物?!

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「廃棄物の種類って、家庭から出る廃棄物が一般廃棄物で、事業者が出す廃棄物が産業廃棄物でしょ?」

これから廃棄物の収集運搬業や処理業を始めたいとお考えのお客様からよく聞かれる質問です。大まかには合ってますが、少し細かく分類されていますので、事業を始める前チェックしてみましょう。

一般廃棄物とは

廃棄物処理法では「産業廃棄物以外の廃棄物」と区分されていますので、原則的には一般家庭からでる廃棄物は一般廃棄物とされます。少しややこしいのが、事業者が出す「産業廃棄物以外の廃棄物」は事業系一般廃棄物という区分になることです。事業者が出す廃棄物が全て産業廃棄物とはならないのです。

例)レストランで木製の椅子の足が折れて使用不能になった。

この椅子は事業活動に伴なって発生した廃棄物なので、産業廃棄物となりそうですが違います。製造業が木製の椅子を製造する過程で破損し、商品として出荷できなくなった場合は産業廃棄物(木くず)と区分しますが、レストランは食事や飲み物を提供するのが主たる業務の飲食店なので、足の折れた椅子は産業廃棄物ではなく、事業系一般廃棄物であると区分するのです。つまりこの足の折れた椅子を業として収集し運搬する場合は、産業廃棄物ではなく一般廃棄物の収集運搬の許可が必要になるのです。

「一般廃棄物収集運搬業許可を取れば問題無いのでは?」とお考えになるかと思いますが、現状では新規に一般廃棄物収集運搬業の許可を取るのは難しいようです。なぜなら、一般廃棄物の処理責任者は市町村だからです。市町村が一般廃棄物処理業の許可を出すための要件として「当該市町村で一般廃棄物の収集運搬が困難であること」が挙げられており、既に許可を与えている業者さんだけで充分に収集運搬がカバー出来ている市町村では許可を受けられる可能性が低くなります。

産業廃棄物とは

産業廃棄物は廃棄物の種類に応じて産業廃棄物と特別管理産業廃棄物に区分されます。産業廃棄物には20種類の区分があり「石綿」を含むかどうかによっては許可基準が変わる物もあります。また、平成29年10月1日からは「水銀」も加わりました。

産業廃棄物の中でも有害性・感染性・爆発性のある物は特別管理産業廃棄物という区分になり、11種類の区分があり種別に応じて厳しい判定基準が設けられています。

産業廃棄物の種類についてご紹介しましたが、現時点で「何が産業廃棄物となるか?」は、はっきり示されていないのです。昭和45年に制定された廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)では「廃棄物」についてはっきりと明示されていました。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)

(定義)
第二条 この法律において「廃棄物」とはごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物または不要物であって、固形状または液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染されたものを除く。)をいう。

しかし時代が少し進んだ昭和52年には下記のようになりました。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正について
(昭和52年3月26日環計第37号厚生省環境衛生局水道環境部計画課長通知)

廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物をいい、これらに該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に勘案すべきものであって、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではないこと

排出されたゴミが廃棄物にあたるか有価物にあたるかを問題にしています。これは総合判断説と呼ばれており、この考え方によって判決が出た、有名なおから裁判の判例がこちらです。

「おから裁判」最高裁判例
(最二小決平成11年3月10日刑集53巻第3号339頁)

自ら利用し又は他人に有償で譲渡することができないために事業者にとって不要になった物をいい、これに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取り扱い形態、取引価値の有無及び事業者の意思等を総合的に勘案して決するのが相当である

この裁判は廃棄物処理法の無許可営業にあたるとして起訴された業者が、その処分を不服として訴えを起こした裁判です。被告である業者は「おからは食べ物だから有価物だ!」と出張しましたが、最高裁判所の判決は「おからは食用にされるのはわずかで、そのほとんどが無償で牧畜業者等に引き渡されるか、あるいは有料で産業廃棄物業者に処分を委託している実情から、おからは廃棄物処理法の産業廃棄物あたる」という判決が下されました。おからが業界全体でどうゆう扱いで処理しているか総合的に判断して出された判決といえます。

この総合判断説は現在でも「廃棄物かどうか」を判断する重要な基準になっていますが、総合判断説を曲解した業者が「これは有価物だ!」と強く出張し、本来廃棄物とされる物が廃棄物ではないとされ、環境汚染を起こした事案も発生し、今のところ廃棄物かどうかを判断するには裁判によるしかないようです。

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